コロナから学ぶことが・・  2020/05/17

コロナ騒ぎで、給食用の牛乳が捨てられたりして、地球の資源について考えさせられる機会でもある。そんな中で目を引いた記事が・・「肉や乳製品の生産と消費を減らすことが、地球温暖化を抑えるのに役立つ」という記事。
最近、体調を崩して、それがきっかけで生活を見直し、体の中の見えなかった動きが見えてきたりして、そこから学ぶことも多い。
コロナの犠牲となるのは、感染者に限らず、生活の糧を奪われる人も多く、それはいままでの個々人の生活に限らず、政治や社会を見直すきっかけにしなければならないのではないだろうか。
余裕のないぎりぎりの生活者や子供たち、そして貧困ぎりぎりで耐えてきた人々の存在が見えてくる。
何かが変わらなければならない。

(社説余滴)誰もができる気候危機対策 村山知博 朝日 2020年5月17日
 「コロナ危機からの経済再建では気候危機対策を忘れずに」という社説を書いた。感染症対策の影響で温室効果ガス排出が世界的に減る見通しだが、景気回復にともなって排出量が再び増えかねないからだ。

 化石燃料の使用を減らしたり、再生可能エネルギーを広げたり。経済の再建を急ぐにしても、同時に社会の脱炭素化を進めることを心がけないといけない。

 といっても、自分に何ができるのか? そう戸惑う人も少なくないだろう。

 省エネに努める。徒歩や自転車を活用する。家の屋根に太陽光パネルを設置する……。頭に浮かぶアイデアは、そう多くない。

 実はもう一つ、誰にでもできることがある。

 「食生活の見直しが地球の健康につながる」。国際環境NGOグリーンピース・ジャパンの報告書が、そう提唱している。肉や乳製品の生産と消費を減らすことが、地球温暖化を抑えるのに役立つという。

 報告書によると、世界で食肉処理される家畜の1人当たりの数は、過去50年間で3倍以上になった。その分、各種の肉や牛乳、チーズなどが食卓に載るまでに排出される温室効果ガスも増えたことになる。

 牧場や農場のため森林を切りひらけば、二酸化炭素の吸収量が減る。肥料や飼料、食肉の生産・加工・運搬には、農業機械や工場、トラックなどから二酸化炭素が排出される。

 昨年、国連の気候変動に関する政府間パネルIPCC)がまとめた特別報告書は、人間の活動で出る温室効果ガスのうち2割以上が農業や林業にともなうものだと指摘した。

 食料分野で出る温室効果ガスの6割以上が、動物性食品に由来するとの分析もある。肉や乳製品に偏らぬよう、一人ひとりが食生活を見直す意義は大きい。

 もちろん、コロナ禍で酪農家や畜産農家が苦しんでいるいま、菜食をめざそうというわけではない。

 「2050年までに動物性食品の生産と消費を半減しよう」と、グリーンピースは提唱している。少しずつでも努力すれば、生物多様性保全し、過剰な土地利用を抑えられる。

 長い目で食生活のバランスを心がけ、我が身と地球を健康にしたい。

 (むらやまともひろ 科学社説担当)

見えなかったことが・・  2020/04/17

コロナ・・で、世界は混乱・・だが、それで見えなかったものが、ここに見えてきて・・、それは別世界のことに見えてくるのだが・・・。そんな、世界の片隅が見えてくると、社会とは何なのだろう・・、ひとびとは・・、TVに映し出されれている映像とは・・考える時間がここにでてくる・・・。

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〔 夕飯抜いて子の昼食に 給食ない1カ月、4キロやせた母 朝日 2020年4月15日
 新型コロナウイルスの感染を防ぐとして始まった小中学校などの休校が、長いところですでに1カ月を超えた。この間、深刻化しているのが、給食がないことによる低所得世帯への影響だ。安い値段で栄養がある昼食を保障してきた給食がないことで、ぎりぎりでやり繰りしてきた親子の暮らしが追い詰められている。

 「子どもに食べさせるのが精いっぱいで、3月はほとんど自分の夕飯は食べられなかった」

 東京都世田谷区で小学校低学年の長女と暮らすひとり親の女性(31)は、3月2日から始まった休校で苦境に立たされた。いまは生活保護を利用しながら就職に向けた資格取得を目指しており、家賃や光熱費を引いた月5万円ほどで生活をやりくりしている。

突然の休校で準備できず
 これまでも、1カ月間給食がなくなる夏休みには娘の昼食を家でつくる必要があり、出費が増えるため、前の月から食材を少しずつ冷凍保存するなどして備えていた。だが今回は、何も準備ができないまま突然休校になった。「他に削れるところがない」。1食増えた分、自分の夕飯を抜いた。

 3月下旬に小池百合子都知事が外出自粛を呼びかけると、さらに家計は逼迫(ひっぱく)した。食料品や日用品の買い占めが起き、安い食材から売り切れていった。お米も底を突きかけ、100円で買ったレトルトのハンバーグを潰してソースを作り、パスタを食べてしのいだ。

 1カ月間で、体重は4キロ減った。4月に入り、ようやく学校が再開されると思った矢先に、5月の連休までの休校が決まった。女性は「子どもが『食べたい』と言ったものを作ってあげられなかったときはつらかった。今はどうにか生活を立て直しているところだが、予測のできない出費があると本当に苦しい」と話す。

 子育て世帯の窮状は、民間の支援団体にも寄せられている。

 ひとり親を支援するNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむは3月、低所得のひとり親への緊急支援として、希望した全国の1094世帯にお米5キロずつを配布。その際に受け取った保護者から「3月は収入がなく、追い詰められていた」「『お金がかかるから』と、子どもが朝ご飯を抜くようになってしまった」といった声が寄せられた。赤石千衣子理事長は「思っていた以上に厳しい状況だ」と話す。


子どもの食の保障、各地で模索
 そんな中、休校中の子どもの食事を保障しようという試みが各地で始まっている。

 東京都文京区では、低所得世帯に学用品費などを補助する就学援助を利用して給食費などの支給を受けている世帯に、休校中の平日、1日当たり500円の昼食代を補助している。3月には、官民で作る「こども宅食コンソーシアム」が、ふるさと納税を活用し、子どもだけでも調理しやすいレトルト食品などを約600世帯に届けた。

 大阪市は、子ども食堂の実施団体などを対象に、活動に必要な物資などについて尋ねるアンケートを実施中だ。子ども食堂の開催が難しくなる中、代わりに子どもたちに弁当を届けようとする団体に、必要な容器などを提供したい考えだ。

 東京都豊島区では、子育て支援団体などでつくる「TOSHIMA TABLE」が就学援助世帯に無料で食料品を配る「としまフードサポートプロジェクト」を実施。区立小中学校で登校日にチラシを配ってもらうなどして利用者を募り、区が各家庭に食品の提供を呼びかける「フードドライブ」で集めたり、企業などから直接寄付されたりした食料品を配った。3月は計4日間で419世帯が利用。4月以降も、食料品を各家庭に配送したり、配布場所を分散させて屋外で配ったりするなど、感染防止に努めながら活動を継続するという。


行政の主体的関与、求める声も
 香川県小豆島町で活動する一般社団法人「小豆島子ども・若者支援機構」も、子ども食堂の活動を食品の個別配送に切り替えた。今後、クラウドファンディングサービス「READYFOR」などで資金を募りながら、週に1度、子育て家庭におにぎりを届けるという。ただ、支援が必要な家庭がどこにいるのか、情報も不足しているといい、岡広美代表は「公的機関とも連携できたら」と話す。

 子どもの貧困問題に取り組む公益財団法人「あすのば」の小河光治代表理事は「長期休暇中に子どもが十分な食事を取れず、やせてしまうことはこれまでも起きていたが、今回の休校はすでに夏休みより長期化しており深刻だ。感染リスクが高まる中、民間団体で取り組めることにも限界があり、行政が主体的に子どもの食を保障すべきだ」と話す。

 市民団体「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークは14日、経済的な困難を抱える子育て世帯への支援強化を求める要望書を政府に提出した。休校中の昼食代の補助や、希望する家庭への給食提供や弁当配布、無償で食料品の提供などを行う民間の取り組みへの財政支援などを盛り込んでいる。(伊藤舞虹)〕

いまの社会と救われる言葉  2020/03/28

最近、政治はTVでも、総理大臣の空しい言葉を聞いても、その顔を見ても・・チャンネルを変えることが多い。その背景に、政権を支える自民党員と全国の支持者がいる。総理大臣自らが、森友・加計問題から事ある問題に至るウソをつきまくっていることは明らかだと私は思っているから、選挙も民主主義も空しい言葉に過ぎない。いまの社会・世界を見ても、ウソとデタラメが、対立・争い・暴力・腐敗・悲惨をもたらし、戦争は途切れこともない。それが、歴史的に人間がやってきたことなのだ。地球は嘆いていることだろう。

わずかながら、救われる新聞記事にも出合う。

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〔(社説)森友問題 真実知りたいに応えよ 朝日 2020年3月20日
 意に反する不正行為を強いられ、公務員としての矜持(きょうじ)も砕かれた。その無念はいかばかりであったか。いまだ解明されていない森友問題の真相に迫る新たな動きにつなげねばならない。

 森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんに加担させられ、自ら命を絶った近畿財務局の赤木俊夫さん(当時54)の妻が、国と当時の理財局長だった佐川宣寿(のぶひさ)氏に損害賠償を求める訴えを起こした。

 弁護団が公表した赤木さんの手記には、本省主導で公文書が改ざんされていく過程が、関係者の実名入りで詳細に記されていた。すべてが佐川氏の「指示」であるのに、近畿財務局に責めを負わせようとする財務官僚の無責任体質への怒りもつづられていた。

 麻生財務相はきのうの記者会見で、18年に財務省が公表した調査報告書と手記の内容に「大きな乖離(かいり)」はないとして、再調査を行う考えはないと述べた。報告書では、佐川氏が改ざんの「方向性を決定づけた」と認定しているが、具体的な指示があったのか、佐川氏の一存だったのかなど、肝心な点ははっきりしていない。

 そもそも、第三者が入らぬ財務省の内部調査である。首相官邸森友学園の名誉校長だった安倍首相の妻の昭恵氏らからは話も聞いていない。そして、この問題の核心である国有地の大幅値引きについては端(はな)から何も調べていない。全容解明に程遠い報告書を盾に、再調査を拒むのは不誠実極まりない。

 佐川氏には法廷で真実を話すとともに、国会でも説明責任を果たしてもらわなければならない。国民共有の財産である公文書が改ざんされ、国民を代表する国会の審議がうその資料と答弁の上に重ねられた。大阪地検の捜査は関係者の不起訴で終わっているが、立法府の行政監視機能がないがしろにされたのである。国会が真相解明に後ろ向きであってはならない。

 「(国有地売却に)私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」。改ざんは首相がこう言い切った国会答弁の後に始まった。首相は手記をどう受け止めるのか。国会できのう「胸が痛む」としながらも、事実関係は麻生氏の下で徹底的に解明されているとの認識を示した。この問題をもう終わったことにしたいのだろう。

 赤木さんの妻が公表したコメントにはこうある。「夫が死を選ぶ原因となった改ざんは、誰が誰のためにやったのか、改ざんをする原因となった土地の売り払いはどうやって行われたのか、真実を知りたい」。この切実な声に応えずして、首相への信頼回復はない。


池上彰の新聞ななめ読み)財務省職員自殺、遺族が提訴 記者の「共感力」あらわに  朝日 2020年3月27日

 私の記者生活は今年48年目になります。長ければいいというものでもありません。何をやってきたんだろうとの自戒を込めつつ言いたいことは、記者には「共感力」とでもいうべきものが必要ではないかということです。ここでの私の定義は「弱い立場の人の思いに共感し、その人に代わって発信する力」のことです。

 「読者に寄り添う」とか「読者の視線で」とかの表現もありますが、「寄り添う」という言葉は、すっかり手あかがついてしまいました。そこで私が使うのは「共感力」です。

 記者は、世の中のあらゆる事象を扱います。私も駆け出しの記者時代、さまざまな事件に遭遇し、多数の遺体を見てきました。無残な遺体の身元確認をすることになった遺族の横で言葉を失ったこともあります。

 どうすれば、こんな悲劇が二度と起きないようにすることができるのか。自問自答しつつ、そのためには事件や事故をきちんと世の中に伝えることだと言い聞かせて仕事をしてきました。

 しかし、慣れとは恐ろしいもの。そのうちに悲惨な現場を悲惨と感じなくなっていく自分がいました。自分の感情を押し殺した方が、取材が迅速にできるという事情もあったからですが、いつしか「共感力」が摩滅したように思えました。

 でも、それでいいのだろうか。自分は何のために記者になったのか。いまの現役の記者諸君にも原点に返ってほしいと思うのです。

     *

 私がこう思ったのは、「森友文書改竄(かいざん)」問題で財務省の職員が自殺したことをめぐり、自殺した職員の妻が国と佐川宣寿・元同省理財局長に損害賠償を求める訴えを起こした記事を読んだからです。

 私はいま「改竄」と書きました。朝日新聞の用語ルールでは「改ざん」と書くのですが、改竄と書いた方が悪質なイメージが喚起されるので、あえて漢字にしておきます。

 3月19日付本紙朝刊は、1面トップでこのニュースを伝え、2面、4面、39面でも扱っています。

 実はこの話は「週刊文春」が先に報じているのですが、弁護団が職員の手記や遺書を公開したことで、新聞各紙も報じることができました。

 週刊文春でこのニュースを伝えたのは、NHK大阪放送局で森友事件を取材していた相沢冬樹氏。NHK内の人事異動で記者を外され、いまは大阪日日新聞記者です。記者魂とはどんなものか教えてくれます。

     *

 では、朝日以外の新聞は、このニュースをどう伝えたのか。毎日新聞は同日付朝刊1面の左肩に掲載しています。朝日ほどではありませんが、それなりの報道です。

 1面での扱いは大きくありませんでしたが、26面に残された手記の全文を紹介しています。朝日は手記の要旨しか掲載していなかったので、この点で毎日の扱いが光っていますね。読者は週刊文春を買わなくても全体を把握することができたのですから。

 読売新聞は、どうか。34面に「自殺職員の妻提訴」という3段見出しの記事です。4面の政治面でも財務省の対応を小さく報じていますが、これだけです。記者には「共感力」が求められると冒頭に書いたのは、この扱いを見たからです。

     *

 公文書の改竄をするように求められた職員が自殺し、改竄の経緯を記した手記を残していた。職員は、改竄を求められたことなどからうつ状態になり、自殺。その後、財務省の近畿財務局は、公務災害に認定している。これは大ニュースでしょう。これを大きく扱わないというのは、どういうことなのか。現場の記者が短い原稿を書いただけだったのか。それとも現場の記者はしっかりとした原稿を書いたのに紙面化の段階で小さな扱いになったのか。真相は紙面を見るだけではわかりませんが、記者の原点に返ってほしいと言いたくなったのです。

 一方、日経新聞は、提訴の記事だけでなく、職員が残した手記の要旨も掲載しています。日経新聞の記者の方が、読売の記者より「共感力」があるように思えます。〕

 

諫早干拓訴訟とは   2020/02/25

諫早訴訟の差し戻し審が始まった。いつの頃からかと調べてみると、30年も前・・。

〔 1989年からは国営諫早湾干拓事業が開始され、1997年には諫早市雲仙市に跨る約35km2の海域が締め切られた。堤防内は干潟の乾燥化と調整池内の淡水化が進み、干潟の生物が徐々に死滅した一方、二枚貝の一種であるヒラタヌマコダキガイが激増するなどの変化が見られた。
水質も汚染が進み周辺では悪臭を感じることもあり、その汚水が排出されることによって有明海全体が汚染されようとしているという指摘もある。〕

漁業者側と農業者側との争いかとも思っていたが、そこに国がはいって・・いまは 「農漁共存の和解」と国との争いの様相を呈しているようだ。

〔漁業者側は和解協議を求める上申書を提出し、国は改めて開門を命じる確定判決の無効化を訴えました。この裁判は諫早湾干拓事業をめぐり、2010年に確定した開門を命じる判決に従わない国が、漁業者に開門を強制しないよう求めているものです。〕という。


昨年の「最高裁判決」に戻ると・・
〔 諫早干拓訴訟で差し戻し 最高裁判決、「ねじれ」続く 2019/9/13
国営諫早湾干拓事業長崎県)を巡り、国が潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は13日、国の請求を認めた二審・福岡高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。開門の是非は判断しなかったが、開門命令の無効化もありうるとの方向性を示唆した。

開門、非開門の相反する義務を国に課した司法判断の「ねじれ」は続くが、差し戻し審では国が主張する確定判決後の事情変化などを踏まえ、開門の強制が権利の乱用に当たるかが判断される見通しだ。

二審判決は「漁業権が消滅し、開門請求権も失われた」として国側勝訴とした。しかし、最高裁は漁業者がすぐに新たな漁業権の免許を得ている点を挙げ、開門命令の無効化を認めたことを「是認できない」と否定した。無効化の可能性もにじませた内容だ。

訴訟では一審判決は国の請求を退けたが、二審で国が逆転勝訴。漁業者側が上告した。

漁業者側は「国が確定判決を守らないことを裁判所が認めるなら、誰も裁判所を信用しなくなる」と主張してきた。これに対し国側は、漁業者側の開門請求の前提となる漁業権はすでに消滅し、請求権は失われたとした上で、漁獲量が増加傾向に転じるなどの事情の変化があったと主張。確定判決に基づく制裁金は許されないと訴えていた。〕


〔 諫早訴訟、差し戻し審始まる 朝日 2020年2月22日
 国営諫早湾干拓事業長崎県)をめぐり堤防排水門の開門を命じた確定判決を強制しないよう国が求めた訴訟の差し戻し審が21日、福岡高裁(岩木宰裁判長)で始まった。

国側は確定判決から時間が経ち漁獲量も増えたと主張し、開門命令を強制しないよう改めて求めた。漁業者側は反発し、開門調査を行う和解での解決を訴えた。訴訟は、開門を命じた2010年の福岡高裁判決を強制しないよう国が求めたもの。判決確定後も国は開門しようとせず、命令の「無力化」を求め提訴。福岡高裁は18年、「無力化」を認めたが、最高裁は昨年9月、高裁判決は認められないとして破棄し、審理を差し戻した。

リポート:「あくまで開門を求めながらもすべての論点を議論すべきとして、和解協議を求める漁業者側に対し国は和解のテーブルに着く気はなく、これまで通り、確定判決の無効化を訴えています。一度は判決を出し、それを破棄され、差し戻された裁判所が、解決への道筋をどのように示していくのか注目されます」〕

漁業者側は話し合いにより営農者を含め当事者すべての利害を調整すべきとして、和解協議を求める上申書を提出しているという。
馬奈木昭雄弁護団長:「被害が出ると言ってる人がみんな集まって、その被害をそれぞれ言って対策はありませんかと、こうしたら対策になりませんかと、みんながよくなろうねと、その話し合いをしましょうよと」

漁業者・営農者がともに共存の道を探っているときに、どう見てもその言い分が解らない国とは、あらためて何なんだろう。

地球温暖化に対する私たちの認識とは

オーストラリア森林火災の消火が困難をきわめる中、グレタ・トゥンベリさんの目の前で、トランプはいつものように悪態をついているが・・・、日本も支持率に助けられている首相がトランプのポチになりさがって、温暖化対策から抜け出している。

日本では、異常気象による大雨で昨年は破壊的な大災害を受けて、復興はままならず・・それも人々の頭の中から抜け出そうとしている。

そんな中で、わずかに救われるような記事を目にした。

〔 企業の気候変動対策、最高評価に日本38社 国別で初の最多 英の環境NGO 朝日 2020年1月21日
 英国の国際環境NGO「CDP」が20日に発表した企業の気候変動対策に関する調査報告書で、最高評価の「Aリスト」入りした日本企業が38社にのぼり、2003年の調査開始以来、初めて国別で最多になった。地球温暖化による経営リスクを定量化していることなどが高評価につながった。

 調査の対象は世界の約1万3千社で約8400社が回答。二酸化炭素(CO2)の削減実績や詳細な削減目標、気候変動による影響額の試算など15項目をもとに、企業の取り組み状況を8段階で評価した。

 最新の調査でAリストに入ったのは179社で、このうち日本企業は38社。昨年調査の20社からほぼ倍増し、米国を抜いて首位に立った。

 イオンや花王ニコン東京海上ホールディングスなど13社が、初めて選ばれた。気候変動に伴う経営上のリスクを定量化する「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」に賛同していることのほか、取締役会で気候変動対策を毎回議論していることなどが評価された。

 近年は、気候変動が企業経営に及ぼす悪影響や対策について、投資ビジネスの分野で注目度が高まっている。CDPによるランク付けは投資判断や取引先の選定などにも使われている。

 今回の調査結果は、日本で温暖化対策に積極的な大企業が増えつつある姿を示した。経団連も昨年末、脱炭素化に向けて「チャレンジ・ゼロ」構想を打ち出した。ただ、鉄鋼やエネルギーなどCO2を大量に排出する産業もあり、経団連は目標の達成時期は定めていない。今夏にも各社の対応状況をまとめて公表する予定だが、個々の企業任せにせず、取り組み拡大を主導できるかが問われそうだ。(小出大貴、加藤裕則)〕

いま見えてくること 

いま見えてくること 

政治家とそれを支えている国民に失望していることが、書く動機やエネルギーとなっているのだが、そんな中にも真に事実を見ている意見や記事に出合うことは、日々の生活を支える力になっている。人々は、そして子どもたちもクリスマスだとか正月を楽しみにしているのはいいとしても、そんなことには縁がない人々の生活がある。

香港では学生や若い人たちがデモに繰り出して、中国がバックにある権力側と戦う危険にもかかわらず、自分の生活と将来のために闘っている。日本の学生たちも、かつてはそんな情熱があって闘っていたことが、香港の情景を見るたびに思い出される。

日本では少子化で、仕事にも困らないせいか、自民党支持も多いようで、それも政権がおかしなことを繰りかえしても、世界の温暖化対策にも加わらないで、年金問題にも、貧困層の生活にも、先が見えない状況は変わらない。これからの子どもたちと若い人たちの行く先に待っているのがどんな世界なのか、いまの米・英・中国や中東の状況とともに懸念は膨らむ。


〔 信じられない萩生田発言 池上彰さん「報じぬ記者鈍い」 朝日 2019年12月27日
池上彰の新聞ななめ読み
 大学入試に民間の英語試験を利用する案は、萩生田光一文科相の「身の丈発言」で潰れましたが、萩生田大臣は、またも問題発言をしています。朝日新聞12月24日付朝刊の34面に、次の記事が出ていました。

高等教育支援の対象外、文科相「端境期なのでご理解を」
 〈来年度から大学など高等教育の学費負担を減らす文部科学省の新制度で、従来なら支援を受けられたのに対象外となる新入生が出ることについて、萩生田光一文科相は23日、「先輩はこういう家庭環境でこうだったのに、俺はという不満はあるかもしれない」とした上で、そうした学生が出ることに対し、「制度の端境期なので、ぜひご理解を」などと述べた。文科省によると、対象外となる新入生は国立大だけで約5千人になる見込み〉

 これは由々しきことです。制度を変えることで支援を受けられない新入生が出ることは、制度設計の欠陥と言うべきでしょう。

 官僚が制度設計をした結果、対象外の学生が出ることが明らかになったら、政治家の出番でしょう。政治主導で救済策を考えるべきなのに、政治家が自ら「端境期なので、ぜひご理解を」とは、なんたること。弱い立場の人への思いやりが感じられません。これでは、「身の丈に合わせて」という発言と大差ないではありませんか。子どもたちに教育の機会均等を保障すべき文部科学省のトップの発言とは信じられません。「身の丈発言」がなぜ批判されたのか、その意味がわかっていないのではありませんか。


 こんな重大な問題発言をしたのに、朝日のほかは日経新聞が24日の夕刊10面に小さく載せただけで、読売新聞や毎日新聞は、この萩生田発言を報じていません。これはどういうことか。他の新聞記者たちは、この発言の重大さにすぐに気づかなかったのでしょうか。気づかなかったのならば、記者たちの感性の鈍さに驚くしかありません。

 その点、朝日の記者は問題を感じたのですぐに記事にしたのでしょう。その点で高く評価しますが、これだけの問題発言なのに、その後の続報がないのは、ちょっとがっかりです。

 朝日の記事を朝刊で読んだ後、同日の毎日新聞夕刊2面の「あした元気になあれ」というコラムに、こんな記事を見つけました。

 〈フィンランドで世界最年少の女性首相が誕生した。サンナ・マリーンさん、34歳。1児の母。新内閣の閣僚は女性が12人、男性7人。しかも連立政権に参加する他の4党の党首は全員女性という〉

 〈もっとも、私が今回、マリーン首相誕生のニュースで一番心を動かされたのは、その若さでも性別でもない。彼女の経歴だ。

 幼い頃に父親のアルコール依存が原因で両親が離婚。貧困を経験した。本人が「レインボーファミリー育ち」と語るように、その後、母親とその女性パートナーに育てられた。中学までの成績は振るわなかったが、高校や自治体の運営する施設で自分の居場所や仲間を見つけ、親族の中で初めて大学進学を果たした。「私を救ってくれたのは福祉制度と学校の先生」と政治家の道を志したという〉

 フィンランドは幼稚園から大学まで学費が無料。だから貧困の中からでも大学進学のチャンスがあり、首相までの道が開けます。コラムの記者は、こう文章を続けます。

 〈ため息が出た。今の日本でこの人生は可能だろうか。ひとり親世帯の貧困率が5割を超え、生活保護世帯や養護施設出身者の大学進学率は極端に低く、文部科学相が教育機会を語るのに「身の丈」などという言葉を持ち出す国なのだ〉

 全くの同感です。制度改革の狭間(はざま)で不利益を被る学生たちに対し、「端境期」という言葉を持ち出す大臣の神経を疑います。

 国連の国別幸福度調査でフィンランドは2年連続の首位であるのに対して、日本の幸福度は世界58位。その理由が、これでわかろうというものです。子どもたちへの愛情が感じられない大臣と、感性の鈍い記者たち。これでは少子化を食い止めることができないではありませんか。〕

ホームレスの人たちと猫

夕方6時過ぎ、何気なく見ていたTV・・

河川敷で、小さな小屋を建てているホームレスの人たちと、そのわきを歩いている猫・・。「生活保護なんて受けたくない」と言う。

・・そのあと、座っている台の上に並んで安心しきったように座っている2匹の猫・・すぐに消えてしまったその光景・・優しい風景が残っている。 

こんな記事も目にはいった・・
〔「ホームレス」という言葉でひとくくりにされがちな人たちにも、一人ひとりのかけがえのない人生がある。
「家がなくても仕事はあったから困らなかったよ」と話す。
私たちは路上生活イコール不幸といったイメージを抱きがちだ。しかし、愛しい猫たちとの質素だけれど、決して不幸ではない暮らしの風景が浮かんでくる。どんな境遇にあっても、胸を張って生きなさいと教えられたような気がする。
「自己責任」、「私には関係ない」と言って切り捨てず、路上生活者一人ひとりの生に関心を向け、何かの形で関わる一歩を踏み出す人が増えたらと思わずにはいられない。〕