諫早干拓訴訟とは   2020/02/25

諫早訴訟の差し戻し審が始まった。いつの頃からかと調べてみると、30年も前・・。

〔 1989年からは国営諫早湾干拓事業が開始され、1997年には諫早市雲仙市に跨る約35km2の海域が締め切られた。堤防内は干潟の乾燥化と調整池内の淡水化が進み、干潟の生物が徐々に死滅した一方、二枚貝の一種であるヒラタヌマコダキガイが激増するなどの変化が見られた。
水質も汚染が進み周辺では悪臭を感じることもあり、その汚水が排出されることによって有明海全体が汚染されようとしているという指摘もある。〕

漁業者側と農業者側との争いかとも思っていたが、そこに国がはいって・・いまは 「農漁共存の和解」と国との争いの様相を呈しているようだ。

〔漁業者側は和解協議を求める上申書を提出し、国は改めて開門を命じる確定判決の無効化を訴えました。この裁判は諫早湾干拓事業をめぐり、2010年に確定した開門を命じる判決に従わない国が、漁業者に開門を強制しないよう求めているものです。〕という。


昨年の「最高裁判決」に戻ると・・
〔 諫早干拓訴訟で差し戻し 最高裁判決、「ねじれ」続く 2019/9/13
国営諫早湾干拓事業長崎県)を巡り、国が潮受け堤防排水門の開門を強制しないよう求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は13日、国の請求を認めた二審・福岡高裁判決を破棄し、審理を同高裁に差し戻した。開門の是非は判断しなかったが、開門命令の無効化もありうるとの方向性を示唆した。

開門、非開門の相反する義務を国に課した司法判断の「ねじれ」は続くが、差し戻し審では国が主張する確定判決後の事情変化などを踏まえ、開門の強制が権利の乱用に当たるかが判断される見通しだ。

二審判決は「漁業権が消滅し、開門請求権も失われた」として国側勝訴とした。しかし、最高裁は漁業者がすぐに新たな漁業権の免許を得ている点を挙げ、開門命令の無効化を認めたことを「是認できない」と否定した。無効化の可能性もにじませた内容だ。

訴訟では一審判決は国の請求を退けたが、二審で国が逆転勝訴。漁業者側が上告した。

漁業者側は「国が確定判決を守らないことを裁判所が認めるなら、誰も裁判所を信用しなくなる」と主張してきた。これに対し国側は、漁業者側の開門請求の前提となる漁業権はすでに消滅し、請求権は失われたとした上で、漁獲量が増加傾向に転じるなどの事情の変化があったと主張。確定判決に基づく制裁金は許されないと訴えていた。〕


〔 諫早訴訟、差し戻し審始まる 朝日 2020年2月22日
 国営諫早湾干拓事業長崎県)をめぐり堤防排水門の開門を命じた確定判決を強制しないよう国が求めた訴訟の差し戻し審が21日、福岡高裁(岩木宰裁判長)で始まった。

国側は確定判決から時間が経ち漁獲量も増えたと主張し、開門命令を強制しないよう改めて求めた。漁業者側は反発し、開門調査を行う和解での解決を訴えた。訴訟は、開門を命じた2010年の福岡高裁判決を強制しないよう国が求めたもの。判決確定後も国は開門しようとせず、命令の「無力化」を求め提訴。福岡高裁は18年、「無力化」を認めたが、最高裁は昨年9月、高裁判決は認められないとして破棄し、審理を差し戻した。

リポート:「あくまで開門を求めながらもすべての論点を議論すべきとして、和解協議を求める漁業者側に対し国は和解のテーブルに着く気はなく、これまで通り、確定判決の無効化を訴えています。一度は判決を出し、それを破棄され、差し戻された裁判所が、解決への道筋をどのように示していくのか注目されます」〕

漁業者側は話し合いにより営農者を含め当事者すべての利害を調整すべきとして、和解協議を求める上申書を提出しているという。
馬奈木昭雄弁護団長:「被害が出ると言ってる人がみんな集まって、その被害をそれぞれ言って対策はありませんかと、こうしたら対策になりませんかと、みんながよくなろうねと、その話し合いをしましょうよと」

漁業者・営農者がともに共存の道を探っているときに、どう見てもその言い分が解らない国とは、あらためて何なんだろう。