子供の不登校から学ぶ  2023/10/16

不登校の子供に、親・教師・カウンセラーが向かう方向は‥疑うこともなく「子供が学校に行く」ことだが、それは子供にとって、親・教師・・さらに学校や社会にとって「良いこと・好ましいこと」なのだろうか。それは不登校の解決と思われて、そこに疑問の余地はないようだ。子供が不登校をするのは、子供に原因があるという一方的な見方をするから、学校や教育制度を疑うという発想は・・・ほとんど見られない。教師もカウンセラーも、子供の姿や行動から、我が身を振り返って、その中から学ぶということが見られないのは、さびしいことである。 
子どもたちは、すでに学校に行く前から、生まれた時から・・親の目で、社会に適応し、競争に勝って・・より恵まれた地位について、財産をより多く獲得して、自分の望み・欲望を満たすことに・・・子育ては費やされ、学校教育に受け継がれていく。それは、いまの学校でのいじめや暴力に、社会の格差や犯罪に、戦争にも受け継がれていく。
努力や競争は、科学技術の発展、人間の幸福につながるという考えを否定する人はいないようで、その影の部分に目を向けることは重要なことではないか。
だが、地球上の資源・・それは人間の競争で勝ち抜いた‥ごくわずかの人たちによって独占され、落ちこぼれた多数の貧者や恵まれない多くの人々を生み出し、いじめから犯罪や戦争を生み出している。それが・・人間の歴史というものの本質なのかもしれない。地球の資源から動植物までが人間の、欲望の犠牲になっているのは事実であり、地球の温暖化をもたらしている。
人間が、人間の欲望が・・地球を破壊し、人間も他の生物も、生きられない世界に向かっている。

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不登校最多に 最適な支援 一人一人に  朝日(社説) 2023年10月15日 

 コロナ禍が、今も子どもに悪影響を及ぼしている。そう実感させられる調査結果だ。国や自治体、学校、専門家らが協力し、一人一人の子どもに最適な支援を進める体制を整えなければならない。

 年間30日以上登校せず、「不登校」とされた小中学生の数が昨年度30万人と、過去最多を更新した。35人のクラスに1人は不登校の子がいることになる。文部科学省は、コロナ禍で学校や家庭の環境が変わり、生活リズムを崩した子などが多いことも背景にあるとみている。

 増加自体は必ずしもネガティブな面ばかりではない。状況によって学校を休むことに理解を示す保護者や教員が増えたり、地元の教育支援センターやフリースクールなど、学校以外の居場所が増えたりした影響もあるからだ。

 だが不登校の小中学生の38%、11万人以上は、学校内外の組織のどこからも支援を受けていない。しかも、こうした子の人数や割合は年々増えている。多様な子を受け入れる施設が足りないうえ、教員らの態勢が整わないために接触さえできず関係を構築できていない家庭もある。

 今回の結果を受け、文科省はこども家庭庁と連携して、教室以外の場所やオンラインで学べる体制を強化するなど、支援が届かない子を減らす取り組みを急ぐ。政府は早急に効果的な方法を見つけ、必要な予算を惜しまずに投入してほしい。

 不登校以外にも、「病気」「その他」の理由で小中学校を30日以上欠席する子が13万人以上いる。こうした子についても、取りこぼすことなく支援しなければならない。

 一方、小中高生の自殺者数は減少に転じない。昨年度は411人と、コロナ禍が本格化した20年度の415人に次いで多かった。3年連続で増えた小学生と中学生が、特に心配だ。

 小中高でのいじめの認知件数や暴力行為の発生件数も、過去最多だった。いずれの問題も、学校が早めに気づき、解決をめざすことが対策の基本だ。だが、働き方改革が進まない現状では、教員だけでは適切な対応ができないケースも多い。多忙のあまり問題を小さくとらえ、取るべき対応が遅れる危険も増す。

 状況を適切に判断できる教員を増やすとともに、子どもの相談に乗るスクールカウンセラーらの充実も急がなければならない。スクールソーシャルワーカーなどが、保護者や自治体の福祉部門、NPOなどをつなぎ、その子に合った最適な支援を多面的に考えることが大切だ。