民主主義と暴力  2022/07/14

安倍晋三元首相が凶弾に倒れて、犯人の若者には当然のことながら・・避難一色である。「民主主義の危機」から始まって朝日(社説)では「民主主義の破壊許さぬ」と書いている。

私はその「民主主義」そのものにも疑問を感じているので、それを結びつけるような感覚はあまりなく、「民主主義とは何なのか」という視点と「暴力」はそれぞれの問題と考えている。

歴史的に見ても、いまの社会や世界を見ても、社会は暴力的であり、戦争は絶えない。ロシアは、相手の兵士に限らず市民や民家と、公共の建物も区別なく破壊を繰り返している。
いくら科学技術が発達して、生活がとてつもなく便利になったとしても、人間の暴力性は変わらないようだ。いったい何で人間は暴力的なのだろうか・・。


その原因は子育てから始まる教育に、そして社会の・・つまり、誰の心にもある「願望と成功」を目的とする人間の心にあると私は思っている。簡単に言えば、親も社会も「努力と成功」を目指して子供を育てるのだが、そのことに疑問を感じることはほとんどないのではないか。競争に勝って・・少しでいい地位に、高い位置に登りつめたい、成功したい・・それは他者から羨望の目で見られ、尊敬の目で見られるのが解っているのだ。

それに限らず、成功は地位を意味し、地位は他者の上に立って「他者を支配」することになって、そこに暴力や破壊の発生する可能性も出てくる。

だが成功者がいれば、敗者もいて、他者からどのような目で見られ、どのように扱われるかが全く違ってくるのだ。成功者と敗者では、生活に必要な資金も財産も違うから、生活の質が全く違ってもくるし、子供はその親から受ける恩恵によって、子供の生活から財産も地位ですら違ってくる。社会とは、そのように作られているのだ・・人間の願望によって。

そういう意味でも、暴力を別にしても・・安倍の死については、私は異なった別の視点から見ると、長い間日本の政治社会に巣食っていた「安倍のウソ・ごまかし」が多少なりとも改善することが期待できるような気がする。「偉大な政治家を失った」と、テレビも新聞も同じ言葉を繰り返して、花を持って訪れる人々の列ができるのだが・・・。

いったい彼は何をしてきたのか・・

最大派閥「安倍派」を率いて、いままでにも「ウソだったら、自民党も議員もやめる」と、大見得を切って、結局司法は「不起訴」にする路線が出来上がっているようだ。

民主的だとか、平和などという言葉にだまされてはいけない。森友・加計・サクラをはじめとするさまざまな問題を記録しておくのは・・いつも書いている・・朝日や「身辺雑記」から拾っておくのも意味のあることかもしれない。

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〔(多事奏論)バラマキ合戦 愛されること望む政治の果て 原真人  朝日 2021年11月10日 
 池田勇人の「所得倍増」、田中角栄の「日本列島改造論」。時の政権がバラ色の未来を描き、国民に希望や夢を与える。そんな試みはいつの時代にもある。

 最近では第2次安倍政権の「アベノミクス」がそうだ。異次元の量的金融緩和を起爆剤に高成長を実現、強い日本経済を取り戻す、と高らかに宣言した。

 とはいえ、国が貧しく国民が若くて人口が増えていた時代と、経済が成熟し超高齢化と人口減少が進む現代とでは求められる夢や希望のかたちがまったく異なる。

 アベノミクスの掲げる夢は時代を誤っているし、その手法はあまりに危険だ。私は紙面で警鐘を鳴らしてきたが、その懸念がどれだけの人に共有されたかわからない。


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 岸田政権でもアベノミクス体制は続く。異常な金融緩和にどっぷり依存し、ときに給付金のようなバラマキ策もとる。陰では巨大な借金のリスクを先送りしながら。

 政権がそのような安易な立場をとり続けるとき、現実的ではあっても不人気な対案を野党が示すのは簡単ではなかろう。

 それにしても先の衆院選での与野党の経済論争はひどかった。あちらが消費税の減税と言えば、こちらは廃止、こちらが18歳以下に給付金10万円と言えば、あちらは全員に10万円。こぞって人気取りに走った。

 これぞ「バラマキ合戦」と、そこに冷や水を浴びせたのが財務省の矢野康治次官の月刊文芸春秋への寄稿である。

 「このままでは国家財政は破綻(はたん)する」。安倍・菅両政権下で官界を覆った「物言えば唇寒し」の空気を破ったその訴えは政界に波紋を広げ、自民党高市早苗政調会長の怒りを買った。ただ、正面きって反論する政治家はほとんどいない。指摘は図星だったのだ。

 国民も真摯(しんし)に受け止めた。消費税の減税・廃止論が飛び交う選挙戦のさなかにもかかわらず、朝日新聞が実施した世論調査では消費税を一時的にでも下げるより10%維持がよいと回答した人が57%を占めた。

 目先の支持を得たいがためだけの甘い公約は結局事態をいっそう悪化させ、負の遺産として積み残される。アベノミクスがもたらしたものも、けっしてバラ色の未来などではなかった。株価は急上昇した。けれどその間、成長率は低迷。実質賃金は伸びず国民の暮らし向きは良くならなかった。

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 半世紀前の英国経済も閉塞(へいそく)状態に陥っていた。本人の歴史的な評価はさまざまだろうが、再建した立役者はまちがいなく元首相サッチャーだ。側近は彼女の政治的資質として思想的確信、道徳的勇気、一貫性、鉄の意志に加え「愛されることを望まなかったこと」を挙げる。愛されない覚悟をもって自らの政治信念を訴えていく。それが国家的大変革には欠かせなかった。(冨田浩司「マーガレット・サッチャー」)

 「日本の未来に希望はあると思うか?」

 先月、福島県の中学生の授業を受け持った機会に、全員に聞いてみた。全員が「ない」と答えた。年に何回か受け持つ大学の授業でも同じ質問をぶつけてみるが、いつも9割以上の学生が「ない」と答える。いまの政治が、未来の財政や社会保障に確かな責任をもっておこなわれているとは思えないことを理由に挙げる学生が多い。

 日本財団が2年前、9カ国で実施した18歳調査でも、国の将来が「良くなる」と答えた日本の若者はわずか9・6%。先進国は総じて低めとはいえ、米国(30%)やドイツ(21%)と比べても際立って低い。

 愛されることを望み、愛される政策ばかりを示し続ける日本の政治。若者が希望を抱かない国は、その帰結なのではないか。

 (編集委員

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「身辺雑記」から

 アベノミクスとは金融緩和。安倍政権・日銀は一貫して、バブル相場(株価上昇)で大儲けする富裕層を優遇してきた。そもそも投資できる人たちには、それだけの資産があるということだ。その一方で、派遣切りや人員削減で仕事を失って、日々の生活に困窮する人が増えている。資産などあるはずもなく、わずかな預貯金を切り崩すしかない。

 経済格差は確実に拡大している。富裕層を優遇し税制でも助ける政府の姿勢をおかしいと思い、怒りの発露とするのか。それとも自分も富裕層になれたらいいなあと羨望し、酷い目に遭っているもの同士で非難し合うだけなのか。もちろん政財界が望むのは、怒りの矛先を政府に向けて是正しようなんてことは考えもしない従順な人々だろう。


モリ・カケは「既に処分が済んで結論が出ている」と平然と流してしまう菅首相

モリ・カケ・サクラ・マスク・カジノ汚職・カワイ選挙買収など数多くの犯罪行為に関わってきた共犯。つまり税金の私物化や公文書偽造・捏造・隠蔽・廃棄の当事者として、責任追及される側なんだけどね。そこには触れられず、すっかりなかったことのようにされている。

 自分たちの税金が大量にかすめ取られているというのに、新型コロナ対策もデタラメでちぐはぐなことしかやっていないのに、何が悲しくて安倍政権を評価なんかできるのだろう。メディアの多くも有権者もいったい何を考えているんだろう(何も考えていないのかも)。このままだと、残念ながらこの国はもうダメかもしれないね。 

しかし「安倍首相の辞任で終わり」にはならない。モリ・カケ・サクラ・マスク・コロナ・カワイ選挙買収・カジノ汚職など、安倍政権による数多くの犯罪行為を、決してうやむやに終わらせてはならない。前代未聞で最低最悪の「アベ政治」はまだまだ続く。「アベ政治を許さない」の看板を下ろすのはまだ早い。


そもそも全国一律の休校が、科学的・医学的にどれだけの効果があるのか、医師・研究者・専門家の間でも評価は分かれています。

 しかも学校現場だけでなく、家庭や社会への影響・混乱が大きいし、何の準備も説明もなく、唐突に一方的に「要請」したやり方は、いかにも場当たり的な思いつきで、行き当たりばったりとしか思えず、いつもの安倍晋三のパフォーマンスにしか見えません。


辺野古の軟弱地盤を無視した埋め立て強行も、森友・加計学園問題も、どれもこれも嘘だらけ。公文書や公的データの隠蔽・捏造・偽装まで行って、まともな説明をせずに開き直るのが安倍自民党だ。


あれだけ大量に大胆に改竄・隠蔽して国民と国会を欺きながら、「文書の根幹部分は失われていない」といった大阪地検特捜部の不起訴の理屈は成り立つはずがないし、成り立たせてはいけない。世間の常識からは著しく乖離している。この国は法治国家の体をなしていない。


5月21日(月曜日) あれもウソこれもデタラメ
 もうずっと前から大半の人は、安倍首相が権力を私物化し、大親友の加計孝太郎氏の獣医学部新設に便宜を図ったのは分かっているが、ここに来てさらに新たな証拠が登場。愛媛県が国会に提出した公文書によると、加計氏本人から説明を受けた安倍首相が「獣医学部いいね」と応じたというのだ。しかも3年前に。昨年1月に加計の獣医学部新設計画を初めて知った、という安倍首相の国会答弁はやはり大嘘だった。

 あれもウソこれもデタラメ。次々に隠蔽やごまかしが露呈する安倍政権。ほとんど公開処刑やさらしものといった様相だ。まともな感覚の持ち主なら恥ずかしくて耐えられないはずだけど、安倍首相は厚顔無恥だから何も感じない。だから平然と嘘をつき続けるのだろう。

 それにしてもここまでデタラメな首相を、それでもまだ3割が支持する日本国民っていったい……。国家(安倍自民党)の家畜なのか。洗脳されて飼い馴らされてしまっているのか。無自覚な奴隷根性が哀れで情けない。

 

 加計孝太郎理事長と安倍首相がオトモダチなのは、獣医師業界では有名な話。首相官邸主導の出来レースによって、最初から加計ありきで加計学園だけに獣医学部の新設が認められた。「国のやり方はフェアではないと思います」。京産大の大槻公一元教授の嘆きはもっともで、憤懣やるかたない気持ちは察するにあまりある。

 子どもたちに教育勅語を唱和させて「安倍首相万歳」と叫ばせる愛国小学校の開校を画策した森友問題にしても、教員も教育内容も劣っている欠陥学園の獣医学部新設をゴリ押しした加計問題にしても、本当に酷い話だと改めて思う。こんなデタラメと国政の私物化がまかり通る異常事態のすべての責任は安倍首相にある。そんな首相が教育や道徳をもっともらしく語る。この異様な状況に、心から怒りと矛盾と理不尽さを感じる。


 「行政に対する信頼が揺らいでいる。徹底的に調査して全容を解明し、うみを出し切って信頼を得るために立て直していきたい」と安倍首相がコメント。これを紹介した後の「報道ステーション」のナレーションが実に素晴らしかった。「一点の曇りもないはずなのに、どんなうみを出すのでしょうか」。いいね、すごくいい。皮肉たっぷりで切れ味も鋭く最高だった。原稿通りなのかアドリブなのかは分からないけど、いずれにせよグッジョブ。拍手。 〕