見えなかったことが・・  2020/04/17

コロナ・・で、世界は混乱・・だが、それで見えなかったものが、ここに見えてきて・・、それは別世界のことに見えてくるのだが・・・。そんな、世界の片隅が見えてくると、社会とは何なのだろう・・、ひとびとは・・、TVに映し出されれている映像とは・・考える時間がここにでてくる・・・。

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〔 夕飯抜いて子の昼食に 給食ない1カ月、4キロやせた母 朝日 2020年4月15日
 新型コロナウイルスの感染を防ぐとして始まった小中学校などの休校が、長いところですでに1カ月を超えた。この間、深刻化しているのが、給食がないことによる低所得世帯への影響だ。安い値段で栄養がある昼食を保障してきた給食がないことで、ぎりぎりでやり繰りしてきた親子の暮らしが追い詰められている。

 「子どもに食べさせるのが精いっぱいで、3月はほとんど自分の夕飯は食べられなかった」

 東京都世田谷区で小学校低学年の長女と暮らすひとり親の女性(31)は、3月2日から始まった休校で苦境に立たされた。いまは生活保護を利用しながら就職に向けた資格取得を目指しており、家賃や光熱費を引いた月5万円ほどで生活をやりくりしている。

突然の休校で準備できず
 これまでも、1カ月間給食がなくなる夏休みには娘の昼食を家でつくる必要があり、出費が増えるため、前の月から食材を少しずつ冷凍保存するなどして備えていた。だが今回は、何も準備ができないまま突然休校になった。「他に削れるところがない」。1食増えた分、自分の夕飯を抜いた。

 3月下旬に小池百合子都知事が外出自粛を呼びかけると、さらに家計は逼迫(ひっぱく)した。食料品や日用品の買い占めが起き、安い食材から売り切れていった。お米も底を突きかけ、100円で買ったレトルトのハンバーグを潰してソースを作り、パスタを食べてしのいだ。

 1カ月間で、体重は4キロ減った。4月に入り、ようやく学校が再開されると思った矢先に、5月の連休までの休校が決まった。女性は「子どもが『食べたい』と言ったものを作ってあげられなかったときはつらかった。今はどうにか生活を立て直しているところだが、予測のできない出費があると本当に苦しい」と話す。

 子育て世帯の窮状は、民間の支援団体にも寄せられている。

 ひとり親を支援するNPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむは3月、低所得のひとり親への緊急支援として、希望した全国の1094世帯にお米5キロずつを配布。その際に受け取った保護者から「3月は収入がなく、追い詰められていた」「『お金がかかるから』と、子どもが朝ご飯を抜くようになってしまった」といった声が寄せられた。赤石千衣子理事長は「思っていた以上に厳しい状況だ」と話す。


子どもの食の保障、各地で模索
 そんな中、休校中の子どもの食事を保障しようという試みが各地で始まっている。

 東京都文京区では、低所得世帯に学用品費などを補助する就学援助を利用して給食費などの支給を受けている世帯に、休校中の平日、1日当たり500円の昼食代を補助している。3月には、官民で作る「こども宅食コンソーシアム」が、ふるさと納税を活用し、子どもだけでも調理しやすいレトルト食品などを約600世帯に届けた。

 大阪市は、子ども食堂の実施団体などを対象に、活動に必要な物資などについて尋ねるアンケートを実施中だ。子ども食堂の開催が難しくなる中、代わりに子どもたちに弁当を届けようとする団体に、必要な容器などを提供したい考えだ。

 東京都豊島区では、子育て支援団体などでつくる「TOSHIMA TABLE」が就学援助世帯に無料で食料品を配る「としまフードサポートプロジェクト」を実施。区立小中学校で登校日にチラシを配ってもらうなどして利用者を募り、区が各家庭に食品の提供を呼びかける「フードドライブ」で集めたり、企業などから直接寄付されたりした食料品を配った。3月は計4日間で419世帯が利用。4月以降も、食料品を各家庭に配送したり、配布場所を分散させて屋外で配ったりするなど、感染防止に努めながら活動を継続するという。


行政の主体的関与、求める声も
 香川県小豆島町で活動する一般社団法人「小豆島子ども・若者支援機構」も、子ども食堂の活動を食品の個別配送に切り替えた。今後、クラウドファンディングサービス「READYFOR」などで資金を募りながら、週に1度、子育て家庭におにぎりを届けるという。ただ、支援が必要な家庭がどこにいるのか、情報も不足しているといい、岡広美代表は「公的機関とも連携できたら」と話す。

 子どもの貧困問題に取り組む公益財団法人「あすのば」の小河光治代表理事は「長期休暇中に子どもが十分な食事を取れず、やせてしまうことはこれまでも起きていたが、今回の休校はすでに夏休みより長期化しており深刻だ。感染リスクが高まる中、民間団体で取り組めることにも限界があり、行政が主体的に子どもの食を保障すべきだ」と話す。

 市民団体「なくそう! 子どもの貧困」全国ネットワークは14日、経済的な困難を抱える子育て世帯への支援強化を求める要望書を政府に提出した。休校中の昼食代の補助や、希望する家庭への給食提供や弁当配布、無償で食料品の提供などを行う民間の取り組みへの財政支援などを盛り込んでいる。(伊藤舞虹)〕